【採用担当が教える】グループディスカッション 対策法4選

 説明会がひと段落してESを提出したら、いよいよ就職活動も本番。本格的な選考のフェーズが始まります。その前に避けては通れないのが、グループディスカッション。学生同士でグループを作り、企業から与えられたテーマについてグループ内で討論し結論を出すこのワークは、採用活動の序盤の選考方法としてすっかり定着しました。

 とは言え、初対面の学生同士で討論を行うグループディスカッションは事前に対策しておくことも難しいため、苦手意識を持っている人も多いのではないでしょうか?今回は採用担当者の視点を交えながら、グループディスカッションのコツについて説明していきたいと思います。

止水 ナギ
上場メーカーの8年目社員。
現在は購買業務に従事していますが、新卒採用担当も経験しています。
学生時代はBtoBメーカーを中心に就職活動をし、複数企業から内定を得ました。

【採用担当が教える】グループディスカッション対策法

グループディスカッションの対策方法を把握していく前に、採用担当の視点でグループディスカッションに関してどのように考えているのかをまずは捉えておくことが重要です。

採用担当から見たグループディスカッション

 まずは、そもそも何故企業は採用活動でグループディスカッションを行うのか考えてみましょう。

グループディスカッションを実施する理由

 企業が採用活動でグループディスカッションを実施する理由は、「その人が入社にどのような姿勢で仕事をするかを見る」ためです。大多数の企業では入社後にチームで同じ目標を掲げて仕事をすることを求められますが、採用活動での面談は一対一が基本なので、集団下でその学生がどのように仕事をするのかイメージする機会がなかなかありません。そこでグループディスカッションを実施することで、物事の考え方や他の人とのコミュニケーションのやり方をチェックしているのです。

 またグループディスカッションの議題には、「当社における新規顧客の開拓」、「今後のビジネスモデル」、「最適生産構造の検討」など、企業が現在重視しているトピックや、実際の業務を簡素化したものがよく選ばれます。学生に入社後の業務を疑似体験してもらうことによって、企業で働くイメージを持ってもらうこともグループディスカッションの狙いの一つです。

グループディスカッションの影響

 選考の序盤で行われるグループディスカッションの大多数は、いわゆる「足切り」として活用されています。勿論、パフォーマンスが優れていた学生を企業側が優先的に次のステップに進めることはありますが、普通に議論に参加していた学生を落とすということはあまりありません。

 グループディスカッションは、あくまで後述するクラッシャーや、議論に参加しない消極的な学生を見定めることが主目的なので、無理をして慣れない司会役に立候補したりする必要はありません。つまりグループディスカッションで最も大事なことは「自滅しないこと」です。

止水 ナギ
私が携わった採用活動の内定者でも、
グループディスカッションの時の評価が平均のBだった学生はたくさんいます。
グループディスカッションの目的と活用方法
・グループディスカッションは、「その人が入社にどのような姿勢で仕事をするか」を見る
・だいたいの企業ではグループディスカッションは足切り用途で活用している
 ⇒グループディスカッションで大切なのは「自滅しない」こと

グループディスカッションでのチェックポイント3選

 グループディスカッションで企業がチェックする主なポイントは「積極性」、「協調性」、「最低限のビジネスマナー」です。前述した通り、採用活動の序盤で実施されるグループディスカッションの用途はほとんどの場合足切りなので、与えられたテーマに沿って自分の意見を述べる積極性や、メンバーと円滑に議論を進める協調性に関しては、サークルやアルバイトの景観がある人なら、実は大多数の人はクリアできます。

 逆に最も学生が躓きがちなのは、「最低限のビジネスマナー」です。学生の時にはなかなか意識する機会がないため、とっつきにくさを感じるかもしれませんが、簡単な心がけ一つで印象は大きく変わるので、ざっと列挙してみましょう。

 第一に、意識的にメンバーの名前を呼ぶこと。ビジネスの場で相手の名前を呼ぶという行為は、相手を尊重するということを表します。グループディスカッションでは事前に名札が配布されることが多いので、「〇〇さんはどう思われますか?」などと名前を含めて声を掛けるようにしましょう(アイコンタクトも忘れないで下さいね)。

 第二に当たり前のことですが、挨拶をすること。ワーク開始前の「よろしくお願いします」と終了後の「ありがとうござました」を、意外と社員はチェックしています。その場限りの付き合いのメンバーかもしれませんが、一緒に仕事をする仲間とコミュニケーションを取る上で、挨拶は社会人の基本です。議論中の指摘や補足に対するお詫びやお礼の言葉も、ワークを円滑に進める潤滑剤の役割を果たします。

 第三に、他のメンバーの意見を最後まで聞くこと。グループディスカッションも終盤になると時間に追われる気持ちは分かりますが、クラッシャーがいた場合を除いて、他人の意見には最後まで耳を傾けましょう。自分が部下だったとして、自分の説明を途中で遮ってくる上司は信用できませんよね。時間が押しているのであれば、タイムキーパーの力を借りて意見を述べる時間が限られていることを事前にアピールしておきましょう。

グループディスカッションにおける自然な議論への加わり方

 就活生からしばしば受ける相談に、「グループディスカッション中に自然に議論の輪に加わることができない」という悩みがあります。グループディスカッションに参加している以上、議論に参加することがスタート地点です。

ここでは、以下の3ケースに分けて対策を紹介します。

  • 単純に自分の意見がまとまらない
  • 自分の意見に自信がない
  • 場の雰囲気に合わせられない

自分の意見をまとめられない場合

 他の人の意見で自分が直感的に同意できるものを探し、その人の意見に同意できる理由を探しましょう。つまり、普通「理由→意見」で思考することを、「意見→理由」で考えることで、ショートカットして意見をまとめることができる上、自分のオリジナリティも出すことができます。

自分の意見に自信がない場合

 まずは隣の席の人に軽いトーンで自分の意見を伝えてみましょう。方向が違うようならそこで会話は終わるでしょうし、もしかすると他の人が貴方の意見を拾ってくれるかもしれません。グループディスカッションはその性質上、確実に答えが決まっているものを出題することはないので、実は正解がいくつもあります。自分の意見が外れていて恥ずかしい思いをするリスクよりも、このまま発言せずに積極性がないと判断されるデメリットの方が大きいはずです。

場の雰囲気に自分を合わせるのが苦手な場合

 賛成/反対を問わず、他のメンバーの意見にまずはポジティブな反応を返してみましょう。「なるほど」「そのアイディアは思いつきませんでした」など前向きな相槌を打つようにすると、他のメンバーとのハードルが下がるので議論の輪に入っていきやすくなります。グループディスカッションが始まる前であれば、タイムキーパーに立候補するのも手です。「あと〇分です」、「そろそろまとめに移りませんか?」など強制的に業務連絡が必要になるので、無理に会話を膨らまさなくても議論に参加することができるからです。

 

採用担当が教えるグループディスカッションの対策法4選

 

 さて、企業から見たグループディスカッションの狙いが分かったら、ここからは具体的な対策方法を4つ紹介していきます。

  1. グループディスカッションは実際、どんな役割が評価されるの?
  2. 自分に知識のない話がグループディスカッションのテーマだったら?
  3. グループディスカッションクラッシャーが現れた!どうする?
  4. 企業担当者に「この人ちょっといいかも」と思わせる小技

①グループディスカッションは実際、どんな役割が評価されるの?

 繰り返しになりますが、グループディスカッションを乗り切る上で最も大事なのは「自滅しないこと」です。就活本には、司会・書記・タイムキーパーから何か役職を担当しておくのがベターと書いてあるものもありますが、大切なのは自分自身を客観的に見た上で、自分に向いている役割を組織でしっかり果たしているかです。無理に自分に合わない目立つ役職を選んで自滅するぐらいなら、役職がなくても議論の中で自分の意見を正確に言えれば充分です。

 勿論、それぞれの役割をこなすのが得意な人は積極的に立候補すればいいと思いますし、やはり司会は目立つので、上手に場を回せていれば社員側はポジティブな印象を持ちます。

しかし、企業が求めているのは、「目立つ学生」ではなく「これから一緒に働きたい学生」です。実際の会社の中では、発言をしていない人に話を振ったり、反対意見を持っていた人に今の結論に不満はないか聞いたりする調整役が必要ですし、記録係が議論に追いつけていない時に代わりに手元でメモを取ったり、グループの意見を図表にまとめたりするサポート役は重宝されます。

 このようにグループディスカッションでは、役職に拘らず自分の適性を見極めて議論に参加することが大事です。

②自分に知識のない話がグループディスカッションのテーマだったら?

 

 グループディスカッションのテーマは一般的なものに設定されていることがほとんどですが、時々専門的な知識が必要だったり、自分にほとんど知識のない議題に出くわすことがあります。どのようにリカバリーをしていけば良いでしょうか。

 まず、知ったかぶりをすると途中で息切れしてしまうので、ディスカッションの序盤で「私はこの件について勉強不足で知識がないのですが」と正直に前置きしておくと、気持ちが楽になります。

 その後は不明点には最低限の質問を挟みながら、「議論をする」というよりも「議論をまとめる」方向での貢献を狙いましょう。「皆さんの意見には〇〇という共通点があるので、今回の結論は△△という方向性なのではないか」というような調整役は、知識が不足していても比較的こなしやすい役割です。

また、タイムキーパーのように議論の内容から少し離れた役に就くことで、手持ち無沙汰な感じを与えないようにする手もあります(ちなみに記録係は議論のエッセンスを抽出して記録する必要があるので、内容を把握できていなければ避けた方がいいでしょう)。

 万が一自分の意見を求められた場合は、その時に一番内容を理解できた人の意見に賛成する形で、表現や具体例を少しアレンジして自分の意見として述べることで、一時的に難を逃れることができます。

 ただし、前述した通りグループディスカッションのテーマには、その企業が重視するトピックが選ばれることがほとんどです。従ってディスカッションの議題に知見がない場合、自分の企業研究の方向性がずれてしまっている可能性が高いので、帰宅後に復習をすることをお勧めします。

③グループディスカッションクラッシャーが現れた!どうする?

 グループディスカッション中に、いきなり本論とは関係ない議論を始めたり、ずっと自分の話をしていたりする、いわゆるグループディスカッションクラッシャー。

「クラッシャーが一人いたせいでグループ全員が選考に落ちた」という声もよく聞きます。では実際にクラッシャーが自分のグループにいたらどのように対処すれば良いでしょうか。

 一番避けたいのは、誰もクラッシャーを止められずに議論がどんどん逸れていってしまうケースです。限られている時間を浪費した結果、仕事のクオリティを落としてしまった場合、全員に積極性がないと見なされてしまいます。

 逆にそこでクラッシャーに割って入れれば、自分のチームを守れる人として評価される可能性が高まります。実はビジネスシーンでも、他人の発言中の割り込みは珍しくありません。その際、正面からクラッシャーの議論を受け止めたり、意識的にロジカルに返そうとしたりすると、余計に双方がヒートアップして収拾がつかなくなることが多いので、「〇〇さんの意見は△△の点で有益だと思いますが、今日は残念ながら時間がないので…」などのフォローを入れるとスムーズです。

 何より気を付けておきたいのは、自分がクラッシャーにならないようにすること。自分では有益な意見を述べているつもりでも、実は場を乱してしまっている可能性もあります。自分が話している間も他のメンバーの反応を確認して、自身にブレーキをかけていくようにしましょう。

止水 ナギ
私の経験上、ほとんどのクラッシャーは自分が話の骨を折っていることに気付いていません…。

 ちなみにグループにクラッシャーがいた場合、社員側も他のメンバーに同情的になりがちです。乗り切れれば加点のチャンスと考えて、上手に流れを引き戻しましょう。

④企業担当者に「この人ちょっといいかも」と思わせる小技

 最後にちょっとしたことですが、社員に「この学生さん、いいかも!」と思わせる小技を紹介します。

 一つ目は事前に得た企業に関する知識の反映です。グループディスカッションは、よく社員による企業説明の後に行われます。その後のグループディスカッションで、企業説明で聞いた知識を活用している学生がいると、「仕事の飲み込みが早そうだな」と思います。

 二つ目はグループをアシストする社員とのコミュニケーションです。グループディスカッションではグループごとに社員がアシスタントとして同席し、学生からの質問に答えたりすることがあります。

アシスタントでついた社員はフルに活用して問題ないのですが、社員に意見を求める際は、「〇〇ってどうですか?」と唐突に尋ねるのではなく、「〇〇について私達は△△と考えているのですか、どう思われますか?」と議論の過程を添えるようにしましょう。

 入社後の仕事でも、先輩社員は後輩の仕事を逐一フォローしている訳ではないので、何かを質問する時には「何についてどう悩んでいるのか、自分はどのような意見を持っているのか」を手短に述べる必要があります。学生のうちから進捗を簡潔にまとめて報告している人には「やるな!」という印象を持ちます

まとめ

 

 以上、採用担当者の視点からグループディスカッションについて解説してきました。グループディスカッションは、入社後の仕事の疑似体験でもあります。

就活本や就活サイトの事前知識に囚われず、「自分ならどんな人と働きたいか?」という視線を持ってグループディスカッションに臨んだ方が、貴方の自然な魅力を企業側にも伝えやすいと思います。この記事を参考に、是非リラックスした気持ちでグループディスカッションに挑んでください!

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