この記事の目次
【就活の軸決め方】採用コンサルタントがお勧めする3つの“譲れない”こと
では、どのように「就活の軸」を決めるのでしょうか?本記事では、採用担当者として現場に従事してきた私が3つのアドバイスを紹介いたします。
成功例はもちろん、出だしは少しつまずいたものの持ち直したケースなど、具体的な体験談を掲載しています。是非ご自身の考えや軸などに照らし合わせながら参考にしてください。
就活の軸とは
自分は仕事を通して何を達成したいのか、ワークライフバランスをどのように取るのか、何が好きで何が嫌いなのか、何に惹かれるのか、どんな人間関係を望むのか?
自分はどのように生きたいのかとは日頃なかなか考えない事柄であるかもしれませんが、就職活動においてはそれが非常に重要になっています。
まずはその重要性について再度おさらいしていきたいと思います。
就活の軸の重要性
私は労働相談を担当することもよくあります。相談の内容で「上司からパワハラを受けるのです。会社でいじめに遭っています。もう辞めたいです」という労働者からの訴えはよく聞きます。しかし、さらに話を聞いてみると、実は労働者側が入社するにあたって、自分にマッチしていない会社に入っていることがほとんどです。
労働問題は感情問題です。就活に手を抜いてしまうと、最初の出会いから労働者と会社に感情のずれが生まれているのですから、時間がたつに従い、そのずれの幅が大きくなります。そして、結局は退職してしまったり、会社と労働者で争いになったり、こじれれば裁判ということもあります。実際、労働相談は年々増えています。
就活を丁寧に進めないとメンタル面にも大きな影響が出ます。適応障害とうつ病の違いをご存知でしょうか?落ち込むという症状は同じでも、うつ病は「原因がぼんやり」、適応障害は「原因がはっきりしている」という違いがあります。会社員の場合、原因が仕事そのものや人間関係のことがとても多い傾向です。
就活で慎重なステップを踏まなかったために、自分に合わない会社に入り、結局は適応障害でダウン、ということはなんとしてでも避けたいですね。メンタルダウンは、精神の問題による労災申請件数が増えていることでもお分かりだと思います。せっかく入った会社が人生にとってマイナスの経験になるのは残念なことです。
就活の軸の決め方 3つのコツ
社会人スタートがスムーズに進むために、ここからは、就活の軸を決める3つのコツを体験談を交えてお伝えします。
1「これだけは嫌!」を決めて
仕事を決めるにあたってよく言われることが「好きなものを仕事にすればいいですよ」ですが、実際の所これは事実なのでしょうか。
信州大学医学部・本田秀夫教授は「好きなことは趣味です。好きなことが仕事になるとは思わないでください。でも、その趣味をするためにはお金が必要であり、仕事をする。趣味が仕事になれば、それは幸運ということです」と言われています。
「好き」を軸にしても仕事を絞り切れないことが多く、また、生活の糧を得るライスワークに結びつかないケースが多々あります。好きな事を仕事にしてもお金を稼ぐことには繋がらないというケースは想像がつくかと思います。
それは「これだけは嫌!」という感情です。
例えば、私が採用の相談に乗った女性は「大好きな本が読める時間を確保できないことは絶対に嫌だ」と主張しました。そこで、彼女は、読書の時間確保を軸に、通勤時間や業務量、労働時間、賃金、とつぎつぎに就職への条件を決めていき、最終的には小さくても理想的な会社に就職しました。「仕事で何かあっても帰りの電車や家で本を読むと謙虚な気持ちになってリフレッシュできます。会社に満足しています」と話します。
一方、嫌ということを仕事にしてしまったケースもあります。数字の計算が苦手、お札に触ることさえ嫌だったにも関わらず、200人規模の金融関係の会社に新卒で入った男性がいます。地元の有力者のコネであり、親の勧めもあって断れなかったそうです。男性は入社半年で体調を崩し休職。結局は合意退職しました。
その後は故郷を離れ、友人たちの助けでアルバイトを開始。今は、正社員を目指して再就活中です。男性は「お金を扱うことだけは今後、絶対にやりません」と繰り返し語っています。
2「人」「もの」「お金」どれを選ぶ?
就活をするにあたってどの分野に進もうか、と迷うこともあるかと思います。まずは「人」に関わりたいのか、それとも「もの」に関わりたいのか、「お金」に関わりたいのか、自分に聞いてみてください。少し仕事への輪郭が見えてくると思います。
就活当初は銀行を目指していた女性がいました。大学院で経済を勉強した彼女にとっては当然すぎる選択でした。しかし、彼女は就活をする中で「本当は人を育成する仕事に就きたい」と気づきます。そこですでに取得していたキャリアコンサルタントの資格を活かし、就活を再スタート。コンサルタント会社から採用通知が来ました。彼女はすぐに人材育成部署で頭角を現し、お金の知識もあるために、入社3年目で部下の管理まで担うポジションになりました。
一方、これは福祉施設の話です。人に接することが苦手にも関わらず、大学卒業後、支援員として就職、入社してわずか3か月で間に人事とぶつかった男性がいました。男性は「自分に自信がなかった。福祉施設ならば、利用者から“ありがとう”、と言われる回数が多くて自分の居場所になるかと思った」と涙を流しました。男性は「実は自分は手先が器用で、昔から車や自転車の修理が得意だった」といいます。
そこで男性は人事と話し合い、2箇月間は現在の仕事をしながら次の就職先を探す、ということで会社と合意。ついに自動車の修理工場に就職を決めました。福祉施設を退職した後、今は自動車修理の仕事に邁進しています。
経営の3要素と呼ばれる「人」「モノ」「お金」のどれに特に関わりたいかを考え、どれが最もワクワクするか等を分析していくと就活の軸を決める1つの切り口になるかと思います。
3人間関係は「職人型?」「チーム型?」
人との関わり合いのタイプはいかがでしょうか?他社との人間関係をどのように築くのか、それ自体の好みも強くかかわってきます。
大きく2つにわけると、一人で研究する職人型と多くの人とつながるチーム型があります。まずは自身のタイプに関して考えてみましょう。
ある男性は「僕はみんなでわいわいとやるタイプです」といいます。男性は学生時代から体育系の部活のまとめ役を買って出て、ボランティアにも積極的に参加。地域のお祭りや清掃活動にも必ず協力してきました。
そして今、彼の仕事は保育士です。人懐っこい笑顔で「自分では何もできません。教えていただけますか?助けていただけますか?」と先輩の女性保育士に頭を下げる姿は誰にも愛され、児童にも絶大な人気があります。腰が低く話をよく聞く彼は保護者への受けがよく、地域や行政と連携するときは調整役を任されます。いつも多くの人の輪の中にいる彼は輝いています。
これは研究型のタイプの方の話です。その女性はSEでした。天才プログラマー、と呼ばれ、入社してすぐに案件を次々にこなし業界にも名声が広まるほどでした。そこで第二新卒として他社から声がかかったのです。女性は忙しいこともあり、声をかけられた会社の業務内容をよく確認しませんでした。
賃金を含め厚遇かと入った2社目は進行管理。女性が最も苦手とするチーム運営だったのです。女性は半年で適応障害を起こしました。休職、退職となり、まずは自分に合った働き方を模索、今は小さな10人ほどのITの会社で勤務をしております。規模は小さいものの、職人集団で、すべてテレワーク。女性は仕事を含め自分の管理は得意なため結果的に幸福度高く働いているそうです。
このように、自身の人間関係のタイプを見分けた上でそれに合致するタイプの仕事を選ぶことも直接的にかかわってきます。
まとめ
今回の記事を読んでみて少しでも就活の軸は定まりそうでしょうか。
就活は社会という大きな舞台に出る第1章です。今回紹介した失敗したケースのように、仕事人生がつまらないと思ってしまうような職場選択をしないように、自分に合った仕事を選べるように準備をしていくといいと思います。
コロナ禍で就活の倍率なども上がっていると聞きますが、就活の軸をしっかりと定め、志望動機などに含んでいく事でより説得力のある話を出来ると思うので、考えていけるといいと思います。