履歴書・面接の質問の中でもかなりメジャーな「どんな人間になりたいですか?」という問い。よく聞かれる質問なので、堂々と・しかもさらりと答えられるようになりたいものです。

しかし、実際「どんな人間になりたいか」なんて、ちょっと話が大きすぎて上手く答えられない…という人も多いのでは?
実際答えるとなると、

「お金持ちになりたいなぁ」
「出世したい!とにかく年収が高いのがいい」
「もっと綺麗になりたい」
「おしゃれなマンションに住むぞ」
なんて、面接官には言いにくいことばかりだったり…(笑)。

この記事では、「どんな人間になりたいか」という問いに対して、どんな風に回答をするべきなのかを解説していきます。

松山
こんにちは!大手メーカーをはじめ、8社に内定をもらって新卒就活を終わらせた者です。
面接や履歴書対策についてお話しします。

【どんな人間になりたいかへの答え方】大手内定者が例文も紹介!

筆者も履歴書や面接でそのような質問をたくさん浴びせられてきました。回答は1つでいい?会社によって変えるべき?
まずは、この質問の意図から探っていきましょう。

「どんな人間になりたいですか?」で面接官が聞きたいこと

まずは、面接官や人事がこの質問によって何を見たいと思っているかを探りましょう。
結論から先に言いますと、《社会人としての目標》・《人となり》・《仕事の適性》の3つを探ろうとしている…!と思ってください。
詳しく説明していきますね。

目標としている社会人像の把握

1つ目は、シンプルに《目標としている社会人像》の把握です。

「どんな社会人になりたいのか?」
ここで、企業の求める人物像とのズレがないかどうかを判断したいと思っているのです。

例えば、できる限り長く勤めてもらいたい安定した社風の企業にも関わらず、
「たくさんスキルアップして、自分の実力を多方面から上げていける社会人になりたいと思っています!」
とアピールしてしまうと、面接官は
「そうなの?転職しそうだな…大丈夫かな…。うちは自分の専門分野で深く長く頑張ってほしいんだけどな…」
と思ってしまうというわけです。良かれと思って言ってみても、実は逆効果だったりするんですね。うーん難しいところ。

もちろん、ここで嘘をつくのも考えものです。働いているうちに性格のズレは必ず露呈します。
そのため、きちんと会社説明会に出向き、企業への研究姿勢を怠らないことが大事。社風を掴み、先輩社員たちがどんな風に働いているのかどうかをきちんと見極めましょう。
その上で回答ができると、マッチングはうまくいくはずです。

明確な将来のビジョンがあるか?

2つ目は、《明確に将来について考えられている学生か?》という点から、学生のポテンシャルを測る目的です。

私たちは学生時代までは、ふわっとした将来の夢を語っても許されていました。幼稚園の時はケーキ屋さんになりたいと思っていましたし、小学生の頃はCAになりたいと思っていました。夢と聞かれて、職業で考えていた人がかなり多いのでは?

しかし、就活市場では将来の夢として職業を語ることはほぼ禁じられています。CAの職種を受けているのだとしたら、みんなCAになるのが夢なのですから…。これはどの職種でも同じですね。

そのため、「職に就いたあと、そこでどうしていきたいのか?」という問いに答えられなくてはいけない!ということなんです。

「どんな風に働いていきたいのか?」
「これからの人生の目的はあるか?」
「具体的に何か目標にしているものはあるか?」
「仕事のやり甲斐以外にも求めているものはあるか?」

これにまごついてしまうようであれば、内定目当てと思われても仕方ないですね。私が面接官でも、ちょっとなぁと思います。
難しい質問ですが、とても重要な問いであることは確かです。

就活生の人となりがもっと詳しく知りたい

3つ目は《人となりや性格はどうか?》です。

就活生に対して、婉曲的に《人となり》・《性格》・《人間としての長所と短所》を探ろうとしている質問であると言えるでしょう。

例えば、
「苦手なこともどんどん克服していきたい。縁の下の力持ちだとしても、その立場で頑張っていきたい」
と言っている就活生に対しては、
「控えめながらも優しい、芯の強い子だね」と感じるでしょう。

逆に、
「得意なことをどんどん伸ばしたい。第一線で活躍できるところでも、プレッシャーに負けないで業績アップに貢献できるようになりたい」
と言っている就活生に対しては、
「アグレッシブな子だ。気も強そうだし、腹の据わったバリバリ系だな」
と感じるでしょう。

ひとつの回答で、ここまで感じる性格の差があるということです。
もちろん前者に対しては、
「ちょっとおとなしすぎるかな?プレゼンとか発表は苦手かもしれないな」
という短所を感じるかもしれませんし、後者に対しては
「向こう見ずなところがあるかもしれないな。希望部署以外に配属されたら、やる気をなくしたりしないかな」
と不安に思うこともあるかもしれません。

ここで綺麗ごとのような嘘の理想像を語ってしまうと、これまでの履歴書や面接内での印象とのズレが生じて、矛盾を突かれてしまう可能性があります。
きちんと自分がどうなりたいかを考えて、回答すべきですよ。

適職はどの部署か?どう育成したらいいのか?

最後に、《内定後の配属》や《人材育成のための参考》というものがあります。

もちろん、人事や面接官としても、就活生たちに苦労をさせたいわけではない…ということなんです。(これを知らない就活生って、結構多いんですよね。)

できる限り希望の部署で働かせてあげたいと思っていますし、働きやすさを用意してあげたいとも思っています。どんな風に育てれば、うまく活躍してくれるかな?ということも考えているんです。

先ほど話したビジョンや性格を元に、どういった配属をするかを考えた上で内定を出したいんですね。営業用の学生ばかり採ってしまうと、事務方が困ってしまいます。
皆さんも、自分が働いていて心地いい部署で働きたいと思うはずです。
そのため、自分の理想の働き方をここで答えていくのも手!というわけ。

【経験談】「どんな人間になりたいですか?」の答え方例文!

ここからは実践編です。
これまで話してきたことを元にして、例文を考えてみましょう。

一口に「どんな人間になりたいか」と言っても、答え方は千差万別です。グループ面接や、友達の履歴書を見せてもらったときに、「こんな答え方もあるのか」と感心することも多いはずです。
できる限り自分に素直に答えるのがベストですが、例を見て、それを真似てアレンジを加えていく方が簡単です。
実際に私が答えていた回答を元に、自分用のオリジナルを考えてみてくださいね。

仕事への憧れと合わせて回答編

まずは、仕事への憧れと合わせて回答するやり方です。
就活生としては、「この企業に入りたいんです!」という気持ちをアピールする機会としてもこの質問は有効。職種に憧れがあって志望した…ということであれば、この手法を取るとベターでしょう。

ポイントとしては、
・自分がこの仕事をする際に心がけたいと思っていること
・どんな社員として働きたいかということ
・この仕事への熱意があること
を、押さえて回答していきましょう。

【例文1】
「私は、どんな状況にも臨機応変に対応できる、柔軟性のある人間になりたいと思っています。仕事の上でもその目標を大切に、プランナーとして、クライアントの要望に常に応えられるようになりたいです。元々企画をする職種に憧れがあったのですが、私自身の、困難に対してどういった立ち向かい方をするかという部分での憧れへの合致も感じています。何があっても、諦めたり、強行突破をするのではなく、色々な考えを多方面から探って、満足できる方向に向かえる人間になりたいと思っています」

【例文2】
「私は、とにかく仕事のできる、行動の早い人間になりたいと思っています。営業職を志したのもそのためです。何か目標があれば、どんどん掴みにいきたいと思っています。学生時代にも体育会系に所属していて、自分が積極的に動くことで変化していく状況を肌で感じてきました。社会人になっても、この姿勢は変えずにいたいです。インセンティブや出世を望むだけではなくて、達成感や「自分はできるんだ」と思えるように行動していく姿勢を常に保ち続けられる人間でいたいと思っています」

【例文3】
「私のモットーは継続です。どんな小さなことでもコツコツと続けていくことが大切だと思っています。特に際立った才能があるとは自分では思っていません。でも、継続をしていくことに対しては、かなりの人々がどこかで挫折することも知っています。私はここで自分への肯定感を高められることに気づいて、黙々とした作業を続けていくことができるアルバイトを始めました。校正という職種を選んだのも、その経験からです。これから社会に出た後も、この継続という習慣をずっと続けることが目標です。おそらく人と比べてしまうことや、うまくいかないことも多々あるだろうなという不安もありますが、それを受け入れながらでも、仕事にまっすぐ向かい合いたいです」

面接官に仕事への適性や熱意をアピールすることができますね。この後の質問へと繋げていくことが大切です。

抽象的に目指す人物像を回答編

「職種的に、仕事と組み合わせて答えるのは難しい…」という人には、大まかな人物像を抽象的に話すことがおすすめです。
ポイントとしては、
・社風に合わせた話をすること
・OB/OG訪問の経験があれば、それを生かした回答をすること
・自分の性格に合わせて、見栄を張らないこと
が大切だと思います。

【例文1】
「私は人に優しい人間になりたいと思っています。仕事でも、プライベートでも、同じことを感じます。自分だけが良ければいいとは思っていません。他人も満足できるものや社会を作っていかなければ、結局は空気が悪くなって、自分のためにもならなくなるからです。少しは納得がいかないことがあっても、妥協点を探って、相手と衝突することなく仕事ができるようになりたいです。もちろん仕事以外でもそうしていくことが大切だと思っています。どんなに仕事ができても、ここを忘れるようになってはいけないとも感じます」

【例文2】
「尊敬する人に高校時代の担任の先生がいます。あんな人のようになりたいと思っています。先生は私の進路の相談に本当に親身になってくれていました。今通っている大学に行くことができないかもしれないとなったときに、かなり落ち込んで話を聞いてもらったのですが、どんなに私が弱気なことを言っても、励ましてくれました。それもただ進学実績を伸ばしたいとか、ただ頑張れというのではなくて、具体的な対策や、私が安心できるようにこれまで解いてきた問題集を一緒に見ながら、励ましてくれていたんです。私はあんな風に人を勇気づけられる人になりたいです。ただ口先だけではなくて、心からその人に真剣に向き合える人になりたいです」

【例文3】
「ナメられやすい人です。世の中では、人に甘く見られないように、ナメられないようにという空気が蔓延していますが、私はそうは思っていません。ナメられるというのは、要するに話しかけやすいということだと解釈しています。人を威嚇しない、ともとることができます。どんな人からも、怖気付かれずに、言いたいことを言える人というのも、私は社会に必要だと思うんです。私自身は聞き上手だとよく褒めてもらえるので、ここを磨きたいです」

どうでしょうか。
王道である答え方から、ちょっと変化球で面接官の興味をひく回答も用意してみました。
ちょっと最初は「んっ?」と思うマイナス表現をあえて使ってみることも、印象づけとしてはいいと思いますよ。

働き方を回答して社会人としての理想を語る編

最後に、就活生としても気になる、《理想の働き方》を加えて話をするという回答方法をお伝えします。
これは私たちと企業との相性を測るやり方でもあります。今は憧れの企業であっても、実際働いてみたら生活が崩れてしまう…という未来は、案外待ち受けているものです。これを答えて落とされたら、こっちからお断り!と思うぐらいの強気でいきましょう。

【例文1】
「私生活も充実させられる社会人になりたいと思います。仕事一辺倒では、仕事に貢献できる効率も返って悪くなると思っているからです。特にこの広告業界では、社会のニーズを常に敏感に感じ取っていなくてはいけません。私がもし、御社に内定をもらったとして働くとすれば、朝の9時から夜の18時までは常に会社員として社会を見ます。営業先までの道のりとしての街並みしか、この時間帯の平日昼間の街並みを研究できないということです。そのため、ムードを掴むためには土日などの休日や、ノー残業で会社を出た後に街を歩く必要があります。休暇にずっと眠って次の仕事に備える、というようなことをして、時代の流れを掴めなくなるのは嫌です」

【例文2】
「オンオフの切り替えができるようになりたいです。私はすぐに何かに没頭する癖があるので、御社で働いた際、目の前の仕事しか見えなくなることがちょっと不安でもあります。何事にも一生懸命で生真面目というのが私の長所でもありますが、リフレッシュするための切り替えのスイッチをきちんと意識して社会人をやりたいです。私のこれからの課題でもあります。面接官の皆さんには、何かそういった切り替えのタイミングや心がけはありますか?」

【例文3】
「女性として常に身だしなみに気を遣っていたいとは思っています。化粧品業界を志した理由とも繋がってくるのですが、一般事務としてのアルバイトをしてきた中で、くたびれた格好をしているとイライラしやすいなというのを働いて感じたんです。自分にとって満足のできる装いができている時は、ちょっと叱られたとしても自分を勇気づけることができたんです。でも毎日きちんと化粧をしたり、服を考えたりするというのも体力が必要だとも思っています。そのために、体調や仕事への姿勢を自分で調整できる社会人になる必要があると感じています」

いかがでしょうか。
逆質問や、「それ、プライベートの話では?」という話題から社会人としての理想のあり方に持っていく手法など、様々な手があります。

【実録】回答に対しての意地悪質問集!こう切り替えせ!

最後に、ちょっと意地悪に思われる面接官からの意地悪ツッコミ集です(笑)。全て私自身が食らったことのあるものばかりです…。ううん、今考えても「ウッ」となりますね。

なりたい人物像を答えられた!と思っても、そこからまた質問が発生することがあります。それに対して動揺してはいけません。
相手は面接のプロなので、ちょっとぐらいは負けてしまっても構いません。

しっかりと意思を貫いたり、負けずに切り返す力を示すことが大切ですよ!
(あと、ただ単に悪気がないけれども聞いておきたいだけのことも多々あります!)

「その職種に就けないってなったら、どうしますか?」

なりたい職種と絡めてうまく語れた!と満足していたら、この質問!がーん!
初めて聞かれた時は戸惑ってうまく答えられませんでした(そして落ちました)が、2回目からはきちんと答えられるようになりました。
切り返しとしては、こうです。

(切り返し例)
それはずっとその職種に回していただけないということですか?御社には人事部からのヒアリングや、上司との半年ごとの面談があると伺っております。それについても、社員のことを考えている社風なのだなと惹かれて履歴書を送らせていただきました。もちろん最初に配属される部署は私の希望ではないかもしれませんが、人事部の方の何かしらの意図があるのだと思っています。適性を鑑みて、他に向いている職種があると判断されたのであれば、まずはそこで頑張ってみます。そこでの仕事ぶりを見ていただいて、希望を聞いていただけるように頑張ります」

いかがでしょうか。相手の痛いところを突き返すことが大事ですよ。

「この仕事だとそれは難しいと思うけど、どう?」

人物像の理想や働き方の理想を語ると、この返答!ああ〜どうしよう〜。
これも詰まってしまいました。咄嗟の火事場の馬鹿力でどうにかなりましたが…。
このように返しました。

(切り返し例)
「もちろん、難しい時もあると思います。私の父も、急に田舎に転勤になって気持ちが参ってしまったこともありました。でも今はまた違うところに勤めていて、何事もなかったように働いています。元々私も、できる限り長く同じ企業に勤めたいという考えがある上に、御社の雰囲気や仕事内容に惹かれています。世の中の変化によって、私の希望通りになったり、そうならなかったりするかもしれませんが、一時の状況によって「思っていたのと違う!」と投げ出さないようにしたいです。人事部などにもし配属になれば、そういった改善点についても考えていきたいです」

「その理想像は、私たちの社風に合っていないかもしれませんね」

根本から覆されるタイプの質問です。意地悪ですね。
ですが、人事部としては、「採りたいと思っているけれど、この子の理想とはマッチしていないかもしれないな」と素直に思っている可能性もなきにしもあらずだったり…。
どちらにせよ、きちんと答えることが大事です。

(切り返し例)
私はそうは思いません。先ほど、人に優しく接したいと申し上げましたが、その思いを強くさせてくれたのは御社の説明会でした。製薬業界ということで、常に人体への直接の影響を及ぼす事態に関わっていく責任がありますが、説明会で話をしてくださったAさんやBさんは、医療業界への貢献についてとても熱心に語っていらっしゃいました。他者の健康を気遣うことと、私の理想像がマッチしていないとはどうしても思えません

こういった裏付けができるのは、きちんと説明会や訪問を繰り返した上です。企業研究を怠らないようにするのが、まず第一ですよ。

まとめ

以上が「どんな人間になりたいか」という質問への回答方法でした。
どうでしたか。思っていた以上に、答える内容に幅を持たせていいことがわかっていただけたのではないかと思います。

自分のオリジナルの回答を作っていくことが大切なので、まずは自分で考えてみてくださいね。

おすすめの記事